明治時代、徳島市は国内10大都市の一つだった
蜂須賀氏は徳島に入国以来、産業政策として塩田に目をつけ、現在の鳴門市の撫養(むや)の海岸に、赤穂に次ぐ大塩田を開発しました。
蜂須賀氏は徳島に転封される前は、播州龍野(現在の兵庫県龍野市)を治めていました。地理的に赤穂に近く塩の産業としての有用性に着目し、赤穂から塩職人を招き、国内で赤穂に次ぐ塩の産地となりました。
塩と並んで蜂須賀氏が奨励したものに藍があります。特に、藍は「阿波といえば藍」と言われるほどに阿波を代表する特産物でした。
明治30年に合成染料が発明され衰退しますが、それまで藍は木綿を青色に染める唯一の天然染料でした。
徳島の生産量と品質は日本一を誇り、全国の市場をほぼ独占し、全国各地より大勢の商人たちが藍の買付けに訪れ、城下町徳島は大いに栄えました。
明治22年に全国で市制が施行されたとき、徳島市は四国随一の都会、全国でも十番目の都市でした。仙台、広島に次ぎ、福岡や堺よりも大きな町だったのです。
横浜や神戸は、アメリカのペリーが浦賀に来て開国を要求したときに開港した港ですが、そもそも幕府が横浜や神戸を開くことを認めたのは、江戸や大坂から遠く離れ、人口も少なかったからです。幕府は外国人と日本人の接触を嫌い、そうした意味で神戸、横浜は好都合だったのです。
横浜、神戸とも、開港前はこのように寒村に過ぎず、開港後に急激に発展したことを考えると、徳島(当時は名東郡)の人口は江戸時代には第8位だったことになります
明治22年に市制を施行した市の人口の状況
順位 |
市の名称 |
府県名 |
人 口 (人) |
備 考 |
順位 | 市の名称 |
府県名 |
人 口(人) |
備 考 |
1 |
東京市 | 東京府 | 1,375,937 |
昭和18年都制施行 | 21 |
静岡市 | 静岡県 | 37,681 |
|
2 |
大阪市 | 大阪府 | 472,247 |
22 |
松江市 | 島根県 | 35,513 |
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3 |
京都市 | 京都府 | 279,165 |
23 |
松山市 | 愛媛県 | 32,916 |
||
4 |
名古屋市 | 愛知県 | 157,496 |
24 |
弘前市 | 青森県 | 31,375 |
||
5 |
神戸市 | 兵庫県 | 134,704 |
25 |
甲府市 | 山梨県 | 31,128 |
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6 |
横浜市 | 神奈川県 | 121,985 |
26 |
赤間関市 | 山口県 | 30,739 |
明治35年下関市に改称 | |
7 |
金沢市 | 石川県 | 94,209 |
27 |
米沢市 | 山形県 | 30,234 |
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8 |
仙台市 | 宮城県 | 86,352 |
28 |
秋田市 | 秋田県 | 29,279 |
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9 |
広島市 | 広島県 | 83,387 |
29 |
高岡市 | 富山県 | 29,202 |
||
10 |
徳島市 | 徳島県 | 60,861 |
30 |
盛岡市 | 岩手県 | 29,190 |
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11 |
鹿児島市 | 鹿児島県 | 57,822 |
31 |
山形市 | 山形県 | 28,400 |
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12 |
富山市 | 富山県 | 57,728 |
32 |
鳥取市 | 鳥取県 | 27,769 |
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13 |
長崎市 | 長崎県 | 54,502 |
33 |
津市 | 三重県 | 27,594 |
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14 |
和歌山市 | 和歌山県 | 51,603 |
34 |
岐阜市 | 岐阜県 | 25,750 |
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15 |
福岡市 | 福岡県 | 50,847 |
35 |
佐賀市 | 佐賀県 | 25,628 |
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16 |
堺市 | 大阪府 | 47,667 |
36 |
水戸市 | 茨城県 | 25,591 |
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17 |
岡山市 | 岡山県 | 47,564 |
37 |
姫路市 | 兵庫県 | 24,958 |
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18 |
新潟市 | 新潟県 | 43,911 |
38 |
久留米市 | 福岡県 | 24,750 |
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19 |
熊本市 | 熊本県 | 42,725 |
39 |
高知市 | 高知県 | 21,823 |
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20 |
福井市 | 福井県 | 39,863 |
注 1)この資料は、京都市のホームページの京都市の統計情報「明治22年に市制を施行した市の一覧」から作成しました。
2)東京の当時の府県名は、「東京府」でした。
3)東京市、京都市、大阪市は、他の市と異なり「特別市」の位置づけでした。
4)人口は明治22年の市制施行時又はその年末のものです。
5)高松市が市制施行したのは明治23年であり、そのときの人口は33,863人でした。